現在、日本には大量の遺伝子組み換え作物が輸入されており、その最大の用途は家畜飼料、次が油です。
遺伝子組み換え作物にはさまざまな種類がありますが、もっとも多いのが「除草剤耐性タイプ」。これは畑に除草剤をまくと、雑草は枯れて作物だけは生き残るため、除草の手間が省ける、というものです。しかし、大量の除草剤をかけて栽培されるため、作物にもその除草剤が残留します。除草剤の代表格、ラウンドアップの主成分グリホサートには、発がん性、催奇形性などが指摘されています。それが、加工された油にも残っていないかどうかを検査したいのです。
これまで「遺伝子組み換え作物は健康に危険なの?」と聞かれても、「そのまま食べれば健康に害があることは、動物実験や実際に食べた人の体験談などからもはっきりしている※。けれども加工品になった場合には、どうかわからない」としか答えようがありませんでした。しかし、有毒なグリホサートが食用油から検出されれば、「遺伝子組み換え食品は、加工されていても有害(な場合もある)」と言い切ることができます。
もちろん、グリホサート残留量が政府の基準値を超えることはあり得ないでしょう。しかし、そもそも政府の決めた基準値が緩すぎるため、基準内であっても人間の健康に害がある可能性は十分にあります。
食用油として今日本でもっとも多く流通しているのはキャノーラ油(=なたね油)です。日本は2015年に約240万トンのなたねを輸入していますが、その約84%が遺伝子組み換えと推測されます。そこで、一番の売れ筋のキャノーラ油と、大豆+なたね混合のサラダ油の2種類を調査し、遺伝子組み換え食品の危険性を改めて人々に警告したいと考えています。そこで、日本食品分析センターに検査を依頼するための費用を募ることにしました。
※遺伝子組み換え作物の危険性についての詳しい情報はWebサイト「サルでもわかる遺伝子組み換え」やDVD「遺伝子組み換えルーレット」をご覧ください。
写真:グリホサートを主成分とする除草剤ラウンドアップの空中散布を準備する農家。
(出典:爲清勝彦氏ブログより「モンサントのラウンドアップと出生異常 by ウィリアム・イングドール」)
グリホサートは2015年2月、WHO(世界保健機構)傘下のIARC(国際ガン研究機関)によってグループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に指定されました。グループ2Aは5段階で上から2番目にリスクが高い評価であり、通常「発がん性物質」と呼ばれます。
これを受けてフランスでは、グリホサートの使用を段階的に規制し、2022年までに禁止することを2017年9月に決めました。EU委員会にグリホサート使用禁止を求める市民の署名は130万を超えており、2018年以降、EU全域でグリホサートが使用禁止になる可能性も出てきています。それなのに、日本では逆に残留基準が緩和されようとしています。
アルゼンチンでは2000年から遺伝子組換え大豆の栽培が本格化し、飛行機によるグリホサートの空中散布も大々的に行われるようになると、その2年後から、ガン、不妊、死産、流産、そして出生異常が急速に増えてきました。人々の健康被害とグリホサートとの関連を疑ったブエノスアイレス大学のアンドレス・カラスコ教授率いる研究チームは、グリホサートをごく低濃度に薄め、カエルや鶏の胚(受精卵から細胞分裂したもの)に注入するという実験を行いました。その結果、2.03ppmというごく低濃度のグリホサートの注入によって、奇形が発生することが確認されています。
日本でなたねへの残留が認められているグリホサート濃度は10ppm。大豆は20ppmです。これはカエルや鶏に奇形を起こした2.03ppmよりもはるかに高い数字です。ちなみに枝豆の残留基準は0.2ppm。枝豆と大豆は同じ植物なのに、残留基準は100倍も違うのです。このことだけ見ても、この残留基準は人々の健康を考えてつくられたものではなく、遺伝子組み換え作物の栽培をする人の便宜を図るために決められた基準であることがわかります。
遺伝子組み換え作物の流通が始まったのが1996年。日本ではその5年後に遺伝子組み換え食品の表示制度が始まりました。ところが、表示義務が課されたのは、豆腐、納豆、味噌など一部の食品のみ。油、醤油、糖類などには表示しなくてもよいことになりました。この中途半端な表示制度のために、多くの消費者が油や糖類が遺伝子組み換え作物からできていることに気づかず、豆腐や納豆の「遺伝子組み換えでない」の表示を見て、自分は遺伝子組み換え作物を食べていない、と誤解しています。この中途半端な制度を改め、すべての遺伝子組み換え食品に表示義務を課すべきです。
今年度、消費者庁が初めて、遺伝子組み換え食品表示制度の見直しに着手し、有識者会議を招集して、月1回程度の検討会を開くようになりました。ところが、9月27日に行われた第5回の検討会では「油や醤油、糖類などには従来どおり表示義務を課さない」という結論が出されてしまったのです。
理由は「科学的検証ができない(分析しても組み換えDNAや特有のたんぱく質が検出できず、確認できない)」というもの。けれども書類などによる遺伝子組み換えでないことの証明(=社会的検証)はできるのですから、到底納得のいく理由とはいえません。強引に事をすすめようとする検討会のあり方に抗議し、結論撤回を迫るためには、さらに広く世論を喚起することが重要です。
そのためにも食用油に残留するグリホサートを検査して、その結果を公表し、世間の注目を集めたいのです。
※上記で「畜産品」とあるのは、遺伝子組み換え飼料を食べた動物由来の製品という意味です。
アメリカ人の活動家、ジェフリー・スミス氏が2015年に来日したとき、「食品に含まれるグリホサートを量ってごらん。油からは検出されるよ。肉からも少しは検出されるけれど、油のほうが検出しやすい」とアドバイスを受けました。ちょうどその頃、協力団体がもうすぐ新しい機器を導入して検査ができるようになる、という話を聞き、その日を今か今かとずっと待ってきたのですが、なかなか検査体制が整わないため、まずは1種類だけでも、と思い、既にキャノーラ油1種(業界最大手スーパーのプライベートブランド。調べた限りで最安値のもの)を検査に出しました。金額が目標値の7割を超えたら、もう1種(スタンダードなサラダ油。大豆+なたね混合のもの)を検査に出したいと考えています。
油は遺伝子組み換え作物の、食品としての最大の用途。しかも表示義務がありません。精製の過程でグリホサートが除去されている可能性はありますが、もしも検出されれば、社会的なインパクトは相当に大きいです。遺伝子組み換え食品の危険性を警告し、また表示義務化へと圧力をかけるためにも、絶好の材料となります。
ぜひともみなさまのご協力をお願い致します。
安田美絵。自然食療法家・社会活動家。ルナ・オーガニック・インスティテュート(マクロビオティックと持続可能な食の学校)主宰。「サルでもわかるTPP」(WEBサイト、後に書籍化)で、遺伝子組み換え食品の表示がTPPで消える可能性を警告。WEBサイト「サルでもわかる遺伝子組み換え」を作成・公開し、また映画「遺伝子組み換えルーレット」日本語版製作にかかわるなど、遺伝子組み換えに関する啓発活動にも力を入れている。
ルナ・オーガニック・インスティテュート http://luna-organic.org
〒141-0001東京都品川区北品川5-16-19 電話:03-3443-2991
サルでもわかる遺伝子組み換え http://gmo.luna-organic.org
食品分析センターでの検査費用:32,400×2=64,800円
食品分析センターへの送料:907×2=1,814円
クラウドファンディングのための諸費用:約15,000円
(クラウドファンディングサイトへの手数料、リワードのための費用とその送料等)
ご協力いただいた方には金額に応じたお礼を後日お送りいたします。
受講割引チケットは、ルナ・オーガニック・インスティテュートで開催される各種の単発講座(豆乳ヨーグルトワークショップ、おせち料理教室、タイ料理教室、味噌づくり、梅干しづくりなど)、DVD上映会、サステナ・フード教室、食養相談、るな着物くらぶ着付け教室のいずれにもご利用いただけます。ただし、分割してご利用いただくことはできません。有効期間は1年間で、お友達への譲渡も可能です。
金額によっては、割引チケットの代わりにNonGM食品などをお選びいただくこともできます。
リワードに選択肢のあるものについては、どちらを選ばれるか、info@luna-organic.orgまでご連絡くださいますようお願いします。(ご連絡ない場合は受講チケットをお送り致しますので、なにとぞご了承のほどお願い申し上げます)
おせち料理教室(毎年12月開催 参加費5,000円)
豆乳ヨーグルト&豆乳チーズ ワークショップ(年2回程度の不定期開催 参加費3,500円)
マクロビ・タイ料理教室(夏に開催 参加費3,000円)
るな着物くらぶ着付け教室(詳細:http://nihon.luna-organic.org/?p=698)
小冊子『リビングファームキット』安田美絵著
生ごみを土に還すコツを解説したイラスト満載の楽しい手引書です。土の中に住む“菌ちゃん”たちの気持ちを考えながら、生ごみリサイクルを体験し、命の循環を実感していただけるようになっています。生ごみコンポスト兼プランター「リビングファームキット」の解説書として編集したものです
完全NonGMおせんべい 笑鴨(わらいがも)。遺伝子組み換え食品に反対する仲間がつくっています。「茨木アイガモ水田トラスト」のアイガモ米と、「山形新庄大豆畑トラスト」のお醤油だけが原料です(ゴマを入れたものもあります)。お米も醤油の大豆も、農薬・化学肥料不使用、もちろんNonGMです。添加物も一切使用していません。GM由来の成分が一切入らないおせんべいは滅多にない貴重品です。
国産大豆納豆 豆むすめ。もちろん完全NonGMです。遺伝子組み換え食品に反対する仲間がつくっています。山形新庄大豆畑トラストの農薬・化学肥料不使用の大豆を伝統的な製法で熟成させたとびきりおいしい納豆です。 90g入り5パックをクール便でお送りします
キャノーラ油の検査完了
2017年12月14日
この度は、「食用油のグリホサート(ラウンドアップ)を検査して遺伝子組み換え食品の危険性を警告したい」にご賛同いただいた方々から、このサイトを通して3万円ちょうどのご寄付があり、サイトがうまく操作できない方々から、それ以外に1万5千円のご寄付をいただきました。1本目のキャノーラ油に関しては、完全に資金調達ができました。誠にありがとうございます。
1本目のキャノーラ油の検査結果は「検出なし(検出限界値0.01ppm)」でした。その結果が出た後で、グリホサートは油にはほとんど溶けないことがわかり、2本目のサラダ油を検査しても同様の結果となることが予想されるため、それは取りやめとしました。その後、グリホサートは水には溶けるということがわかったため、水分を含む「水飴」を2回目の検査のターゲットとして、クラウドファンディングを継続しました。
水飴のグリホサート検査は農民連食品分析センターに依頼したのですが、糖分が分析の邪魔をするため、通常とは違ったプロセスが必要になるとのことで、その方法を模索中、というふうに言われております。本来でしたら、その結果を含めてみなさまに報告を差し上げたいところなのですが、分析結果がいつ得られるかもわからないということなので、こうした現状のご報告にとどめざるを得ず、もうしわけありません。
油からグリホサートが検出されなかったことは、遺伝子組み換え表示の必要性を主張するための材料を得たいという今回のわたしの意図からすれば残念な結果ではありますが、遺伝子組み換え原料の油を大量に消費する日本国民の健康を考えれば、朗報といえます。
これからも、遺伝子組み換えに関する有用な情報発信と、表示の拡充を求めるための活動を行っていきたいと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。
2017年11月27日
前回のキャノーラ油の検出結果をFaceBookにあげておいたところ、それを見た農民連食品分析センターの八田所長が情報を寄せてくださいました。それによると
グリホサートは油には極めて溶けにくい性質を持っているため、溶媒抽出法の食用油では検出される可能性は限りなく低い。
圧搾法でつくった油であれば、多少の残渣が残っていて、検出できる可能性もある。
とのこと。
しかし、遺伝子組み換え原料は、効率重視の溶媒抽出法で抽出されるのが普通で、圧搾法で抽出した遺伝子組み換えの油というのは、見かけません。
そこで、グリホサートは水には溶けるのかを八田氏に問い合わせたところ、
20度の条件下で、1リットルの水に、10g程度溶け、農薬としてはかなり水に溶けるタイプと言える。
とのことでした。
ということは、水分を含む食品であれば、グリホサートが残っていて、検出できる可能性がある、ということです。
そこで、水分を含まない油の代わりに「水飴」を調査することを考えました。
水飴の原料は、いろいろあるのですが、安い水飴はコーンスターチを原料にしています。
水飴の水分は食品成分表によれば15%。
そして表示義務がありません。
水飴からもしもグリホサートが検出されれば、
「原料が遺伝子組み換えであっても、そうでなくても、品質はまったく同じ」という、遺伝子組み換え表示反対派の主張を突き崩すことができます。
消費者庁の遺伝子組み換え表示制度検討会に揺さぶりをかけるために、何か少しでもニュースバリューのある材料が必要です。
そのために、ぜひ水飴のグリホサートを調査したいと考えています。みなさまのご協力をなにとぞお願いいたします。
2017年11月03日
日本食品分析センターに依頼した検査の結果が送付されてきました。
今回調査に出した最大手スーパーのプライベートブランドのキャノーラ油から、グリホサートは「検出せず」(検出限界値0.01ppm)という結果でした。
油の危険性は立証できず、遺伝子組み換え食品の危険を訴えるためには、役立たない結果となりましたが、しかし日本国民の健康にとっては朗報と考えるべきでしょう。
アメリカ人の活動家ジェフリー・スミス氏から「油からは出るよ」と聞いていたのに、今回検出されなかったのは、アメリカと日本では油の精製度が違うからかもしれません。
今年度、消費者庁は遺伝子組み換え表示制度の見直しのために検討会を開いておきながら、「表示義務範囲の拡大なし」の方針で行こうとしていますが、その方針の撤回を迫るためには、別の方法が必要となります。
現在、わたしのほうでは、「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会第5回」の議事録から大きく2つの問題点を洗い出して、議論の不十分さを指摘し、その再検討を迫る手紙を関係者に送っています。
問題点1「科学的検証と社会的検証の違い、またトレーサビリティーとIPハンドリングの違いについての説明と認識の共有をすべき」との提案があったのに、それを待たずに結論を出してしまったこと。
問題点2「一般的な検証ができるという話と監視ができるという話はイコールではない」との発言が委員からあったが、その理由が十分に説明されておらず、明確でないこと。
これまで検討会の座長と7人の委員、および消費者庁の担当課長補佐に手紙を送り、今後消費者庁の担当大臣や、遺伝子組み換え問題に取り組んでくれることが期待される衆議院議員らにも手紙を送りたいと思っています。
この表示制度の問題に関しての詳細は 「サルでもわかる遺伝子組み換え」の中の「最新ニュース」→「表示」よりご覧いただけます。
「強引すぎるまとめに唖然…表示制度検討会第5回議事録ハイライト」
http://gmo.luna-organic.org/?p=1495
「表示制度検討会の座長、委員、消費者庁に手紙を送りました」
http://gmo.luna-organic.org/?p=1514
日本で食品分析に携わる方は「油(からの検出)はむずかしい」と言っている、という話も人づてに伝わってきていますので、これ以上の油の分析は断念しますが、既に検査した分の金額(32400円)に達するまで、引き続き、ご協力の呼びかけを行う所存です。
こちらでは今後とも、遺伝子組み換え食品について警鐘を鳴らし、日本の表示制度改善のための働きかけを最大限行いたいと思っております。
なにとぞみなさまのご協力をお願い申し上げます。
応援してます!頑張って下さい!
2017年11月08日 15:44:13
2017年11月04日 09:53:07
自分たちの手で、食品検査機関を確保するする運動に大賛成です。
2017年11月04日 01:32:54
頑張ってください!
2017年10月31日 22:41:31
素晴らしい活動だと思います。僅かながら支援させて頂きます!
2017年10月31日 21:49:27
毒が含まれているのかどうか、はっきりするとよいですね。
2017年10月30日 18:24:18